特許戦略の評価基準としてのABC分析

イタリアでパレートという経済学者が、イタリアにおける富の分配状況を調べ、分析しました。

その分析方法は、「パレート分析」また「ABC分析」として知られております。少し紹介しましょう。

 

ABC分析の分布を戦略に生かそう

この分析結果によると、イタリアの富の80%は国民のわずか20%を占める「金持ち」が所有していて、中位に属する40%の人は、全体の15%の富を分け合っているということになります。いわゆる低所得者層と言われる40%の人たちは、たった5%の富しか分配されていないという……。

パレートは20%の富裕層をAグループ、中位層をBグループ、そして貧困層をCグループという区分けをしました。この区分けの仕方が、ABC分析と呼ばれる所以です。

日本でも平均貯蓄額という数字がよく発表されますが、その額は一般的な人々の預金と比べてもかなり高く、富裕層が平均高を底上げしていることを示しています。

このABC分析の分布が、例えば優秀人材の分布など、社会現象の様々な分野にも当てはまることがあります。

 

会社の売り上げの大半を占める、人気商品群

実は会社の売上高にも、このABC分析にぴったり当てはまるのです。

自社の全商品を売り上げ順に並べ、全体の80%のところで一区切り。それが上位のAグループの商品ということになります。

売り上げ全体の95%のところでもう一区切りし、そこまでがBグループを含めた商品群、そしてそれ以外がCグループの商品に。

全商品を3つのグループに分けてみると、ほとんどの会社で、Aグループは全商品のたった20%の商品群で構成されるのです。

会社によっては、Aグループの商品群の売上比率が60%前後になったり90%前後になったりもするが、Aグループの商品群の売上貢献度が抜群なのは、どの会社もほとんど変わりません。

過去の技術戦略や特許戦略の善し悪しが、現在のABC分析の結果に表れている言っても過言ではないでしょう。

お客様の視点から見ると、20%のAグループの商品を購入されるお客様が全売上の80%を生み出しているということになります。AグループとBグループを足した60%の商品を大衆(お客様)が購入することで、会社の総売上の95%を生み出しているということです。

最下位グループを構成する40%の商品群の稼ぎは、たったの5%しかないわけです。

こういう見方をすれば、今後の戦略としては、現在売り上げの80%を占めているAグループの商品群に特許が集中していなければならないということになります。もしCグループの商品群に自社特許が集中していたら、未来に安心することはできません。

 

専門的商品が人気商品になるには

中にはCグループの商品から徐々に成長してAグループの商品に「昇格」するものがないとは言えませんが、例えば家電やクルマなど大衆性の高いエリート商品は、最初からAグループということが多いものです。

一方、専門性の高い商品であれば、CグループからBグループ、Aグループへと、徐々に成長していくこともあるようです。

このようなことが起きる理由の一つとして、専門性が高い商品はお客様が購入を決断するまでにより検討するようになるということが考えられます。

例えば今までに見たことのないような、専門性の高い新しい商品は、「過去の実績」が問われます。どんなに素晴らしい商品でも、今まで世の中になかったものであればあるほど過去の納品実績が判断材料になります。

どんなに優れた商品であることをPRしても、納入実績がないというだけでそこで商談が終わってしまうことも。ですから、まったく新しい商品というのは、最初の納入実績を生み出すまでに時間が掛かります。それゆえに、最初からAグループ商品になれないということが多くなります。

専門性が高いからと言って、Cグループの商品に特許が集中していると、会社の売上や利益につながらない、守れないということにもなります。やはりAグループ商品群に特許が集中していなければ意味がないのです。

ABC分析は、自社の特許戦略の善し悪しを評価する最高の手法です。

 

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