「デキる企業」はここが違う、知財の管理術

開発が始まって最終的に収益確保に至るには、次のような流れがあります。

「知財(知的財産)」とは何か、それをどのように管理するのかということを考える場合、多くの人が上図のステップIV「アイデアの完成と商品設計」およびステップV「商品化」に注目します。

しかし、そのような考え方は「稼ぐ力」という観点では間違いであると指摘しなければなりません。

本当に稼ぐ力のある知的財産を得たいのであれば、注目すべきところは開発の流れの初期段階に当たる、ステップⅠ〜Ⅲにあります。

 

高い知的財産を生み出す10%の人材

「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、知的財産の世界においてはステップⅠ~Ⅲがまさしく人間でいう「乳幼児」に相当し、この期間がとても重要です。

そして、このステップI〜Ⅲを実践できるのは、下のマトリックスにある「スター」人材、すなわち、ごく限られた社員です。

  • 「スター」とは、自分で問題を見つけて自分で解決できる人。
  • 「解決努力マン」とは、他人に言われなければ問題に気付かないが、言われればそれを解決できる人。
  • 「偏屈マン」と「でくの坊」は論外です。

ステップⅠ~Ⅲは、問題を見つけ、それを育んでいくステップです。これは「スター」社員にしかできません。

誰かが問題点に気付き、解決の方向性を示さなければ、「解決努力マン」にとってその問題はまだ手に負えないということです。

「スター」が解決の方向とコンセプトを具体化して初めて「解決努力マン」は活躍できるのですから、ステップⅠ~Ⅲこそが「稼ぐ力」を持つ知的財産となるわけです。

 

優秀な企業の知財マネジメント

この開発の流れから知的財産を確立する上で、優秀な企業が実践している3つの要点があります。

1. 徹底した秘密管理

自社の「スター」が指摘した問題点およびその解決の方向性が少しでも漏れてしまうと、他社の「解決努力マン」に気付きを与えてしまうことになり、知的財産としての価値がなくなってしまいます。

そのため、開発初期の段階から、見い出した問題の内容を一切口外しない管理体制が求められます。外部の協力会社にも同様の秘密保持意識が必要です。

2. 競合他社に対する先行性

その開発内容は、そもそも競合他社に対して先行性を持っているのか確認する必要があります。

競合他社に対する先行性のチェック項目

① 問題の発見あるいは気付きに先行しているか
② 解決の方向付けに先行しているか
③ 解決の着手に先行しているか
④ 具体的な商品設計に先行しているか
⑤ 商品化に先行しているか

なお、①~③がステップⅠ~Ⅲにおいて求められるものです。

3. 先行性のチェックのやり方

競合他社に対する先行性について、具体的な情報の入手は期待できないと心得るべきです。

そこで、特許情報などから競合他社の状況を推測するなどの工夫が必要です。

インターネットやSNSなどあらゆるものを駆使して、先行性のチェックをすべきです。

もし、先行性に後れを取っていれば、開発の中止も辞さない覚悟が必要です。

 

開発過程で生まれる派生的課題も管理

メインテーマの開発を進めていく過程では、必ずと言ってよいほど派生的な課題が生まれてきます。この派生的な課題の解決手段でも採用されないものが出てきます。

採用されたものと不採用のもの、総合的に捉えるとそれらのすべてが知的財産になり得ます。

この総合的な知的財産を自社としてどのように扱うかも知財マネジメントの重要です。

そういう意味でも、ステップⅣとⅤばかりに注目していると、特に、不採用の派生的課題を見逃しがちになります。

 

まとめると、

  • 開発初期に「スター」人材が生み出す解決の具体的な方向性こそが、「稼ぐ力」のある特許になりうる
  • 先行性のある開発テーマについては秘密管理を徹底する
  • 採用・不採用を問わず派生する課題とその解決手段も、知的財産として管理する

というポイントを押さえている企業こそが、稼ぐ力を持つ優秀な企業になっていきます。

 

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