とても、古い話をします。
ヘンリー・フォード1世は、自動車をいわゆる流れ作業で生産し、今まで2000ドルで売られていたものを半値以下の950ドルで売り出しました。
そして、1926年には290ドルまで値下げしました。
その結果、1908年~1927年までの18年間に、1500万台も売れる大ヒット商品となりました。
その自動車の名前はあの有名な「T型フォード」です。
「T型フォード」の出現で、アメリカ人は誰もが自動車を手に入れることができるようになり、自動車の便利さを謳歌していました。
しかし、自動車になれた一般大衆は、安全だけでは満足できなくなり、もっとスピードが出るクルマが欲しい、もっとかっこいいクルマが欲しい、というようになってきました。
しかし、ヘンリー・フォードは、
「冗談じゃない。自動車は丈夫で安全が第一だ」
ということで大衆の意見に耳を貸しませんでした。
そこに現れたのが、GM社の中興の祖といわれるアルフレッド・スローンという社長です。
彼は、それでは「もっとスピードが出るクルマを作ろう、もっとかっこいいクルマを作ろう」ということで「シボレー」というクルマを世に出しました。
これが大当たりし、T型フォードは,在庫の山を築いたそうです。
どんなに値下げしても、商品開発を怠ると、お客は飽きてしまうという事例です。