とある会社の社長は、非常に積極的で、特許を取れば、それを何とか仕事に活かしたいと考える人でした。
この社長はまた、デザイン感覚にも優れ、ものすごくセンスの良い商品を製造販売しています。
しかし、センスの良い商品なので、他社に真似されていました。
いつもこの会社の商品の偽モノを上手に作って安く売り出してくるY社です。
そんな状況の中でしたから、社長はY社に対向するために特許をとりました。
そこで、私は、社長にお願いしました。
会社の営業マンが問屋さんに売り込みに行ったとき、特許を取ったこと、偽モノが出てきたらすぐに訴えると社長が大騒ぎしていることを、吹聴してほしい……と。
そんな中、ある大手家電メーカーが、この会社の特許を侵害する商品を売り出してきました。
そこで私は、「家電メーカーからいくらでもよいから特許使用料をもらいましょう」とアドバイスし、実際に、わずかでしたがお金をもらいました。
そこで、再び営業マンに吹聴してもらいました。
「社長は、あの大手家電メーカーからお金をもらって特許を使わせている。黙って偽モノを出す会社を許さないといった社長の考えは、本当のようです」
このあと、Y社は偽モノを売るようなことをしませんでした。
特許を市場で上手に使うとは、特許権の存在を他社にいかに伝えられるかによります。
ハッタリでも構いませんので、特許権の存在を市場に吹聴しなければならないのです。