会社などで、「この発明は、売れるのか?」という質問をする人が後を絶ちません。
これは技術者にとって一番困る質問です。それだけではなく、技術者をダメにする質問です。
ところが、こんな質問をする人ほど、自分は経営的な観点から評価しているつもりになっているようです。
だから困るのです。
だいたい、まだ売ってもいないのに売れることが分かっている人など、誰もいません。
もし、そんな人がいたら、文字どおり経営の神様です。
ソニーのウォークマンは、当時の井深会長が発案者だったそうですが、社内での評価は散々だったそうです。
しかし、当時の盛田社長が述べた「おれの首をかけて売る」の一言が、大ヒットにつながったということです。
発明を評価するとき、それが売れるかどうかを漠然と考えてもらちが明きません。
大切なのは、それを「誰に」「どのように」売るのかをシミュレーションして、その結果、自社でそのシミュレーションどおり実行するのに「人」「モノ」「金」が続くのかを考えることです。
後は、決断しかありません。
ですから、若い技術者から発明が提案されたとき、だれにどのように売るのかを考えさせることが必要です。
このときには、会社の体質的なことも考えさせて下さい。
その上で、発明を経営的に評価し、会社として製品化できないものは、却下すべきです。