将来を予測することは不可能です。
そこで、人は将来を仮説で考え、自分で設定したその仮説に基づいて将来設計をします。
ところが仮説を立てる際には、自分の都合のいいように考えたり、過去の失敗にとらわれたりしてしまうもの。
こうなると、新しい考え方ができなくなります。
特に開発技術者が狭い視野で開発テーマを考えてしまうと、発想が貧困になって会社の将来を担う開発などできなくなってしまいます。
それでは、どうるすか。
実は、訓練によって、幅広いものの考え方を養うことができます。
視野の広い仮説を立てられれば、発想も広がります。
視野を広げる道具として特許出願は最適です。
特許出願は、なるべく権利が広く取れるように、一つの発明をいろいろな角度から検討するからです。
例えば「赤いスポーツカー」という特定をして特許出願すると、「黄色いスポーツカー」は権利の範囲に入らなくなるからです。
となると、視野を広げて「赤、黄色以外にどんな色がいいの?」と言った検討を加えます。
このようなことから、特許出願をするときには次のようなことをします。
- 発明の「良いところ」探し
- 発明を相手側からみる
- 両極端に振って考える
他にも良いところがないかをしつこく検討してみると、意外と発明者が気づかないような「良いところ」が見つかります。良いところ探しには、発明を見る視点を変えなければいけません。
開発技術者は普段考えていないかもしれませんが、例えばライバルが特許破りをするときにはどのような考え方をするか、あるいはユーザーの視点でどのようなことが望まれるのか、と言ったことを考えることで、自分の発明を見直すチャンスであるとともに、視野が広がります。
例えば、「部品を特定の箇所に設けた点に発明がある」と考えたとします。しかし、特許出願するときにはその部品を全く反対のところに設けたらどうなるかと言った検討をします。発明者は自分がした発明にしか目が行っていないので、「エッ、反対側ですか?」などと言って目を白黒させます。この驚きが視野を広めることになります。
こうした検討が、視野を広げる仮説思考につながります。